うごく本バコって?
外ヶ浜町は、日本国内でも人口減少・少子高齢化が最も進む地域のひとつです。
うごく本バコ に活用されているマイクロバスは、もともとは地域に1つしかないこども園の園バスでした。
バスは10年にわたって子どもたちの通園を支え、遠足などの行事にも使われてきましたが、少子化によって大きなバスは必要なくなり、15万キロも走行していたため、故障もおおくなって、走ることなく廃車になる予定となっていました。
「残念だけど、少子化だし仕方ないよね」
「さみしくなるけど経費ばかりかかってしまうから」
一般社団法人 洗練された田舎研究所は、
この思い出の詰まった園バスを買い取り、書店のない地域で活躍するブックバスとして、再び走らせることはできないかと考えました。
実現には、予想していなかった問題が次々とでてきて
予定していた完成は3ヶ月あまりも遅れました。
2025年11月4日
おんぼろバスは、うごく本バコとして、子どもたちのところに帰ってきました。
外ヶ浜の #うごく本バコ の始まりです。
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◇うごく本バコが生まれた背景
外ヶ浜町には書店も図書館もなく、多くの人にとって本と出会う機会がとても少ない現状があります。
一方で、町全体では人口が最盛期の3割以下となり、高齢化率が5割を超えるなど、少子高齢化と人口減少が急速に進行しています。
こうした中で、大きな建物を新しくつくり維持していくことは現実的ではなく、「身の丈に合った小さな道具」で、本と人、地域の物語をつなぎ直す必要がありました。
◇めざしていること
◆地域コミュニティの維持と再生
集落、公園、商店前、こども園などに出向き、その日その場所に読書と世間話と遊びが混ざり合う“小さな場所”を立ち上げます。「通過するだけの空間」を、誰かの顔や会話を思い出せる場所に変えていくことをめざしています。
◆本との「さりげない」出会い
本は貸し出しが基本で、販売は行わず、寄付や会費の返礼品として一部のグッズを扱うのみです。
コーヒーを飲んでも、子どもと遊んでも、ただ話して帰ってもよく、その中でふと手に取られる1冊との偶然の出会いを大切にしています。
◆商店・地域経済へのささやかな支援
スーパーや食堂、温泉などから「ブック◯◯」として呼ばれた場所は、その日だけ特別な場になります。その様子は「運行日誌」として写真と文章で記録され、地域の店や人の魅力を伝える小さなメディアにもなります。
◆地域の記録とブランドづくり
『つむぐ外ヶ浜』など、これまでの物語づくりの取り組みとつなげながら、ブックバスで出会った人・店・風景を、運行日誌として蓄積していきます。それは、「この町には何もない」のではなく、「もうある物語を見える形で編み直す」試みです。
◆なぜ「バス」なのか
少子高齢化が進む地域で、新たな書店や常設の施設をつくっても、利用人口や維持管理の負担から、本来の役割を守り続けることが難しくなりがちです。一方、バス1台規模の移動拠点であれば、必要な機能と運営コストのバランスを取りやすく、地域の民間チームでも自分たちでコントロールできる「ちょうど良いサイズの道具」になります。イヴァン・イリイチが提唱したコンヴィヴィアル・ツール(自立共生的な道具)の考え方にならい、「大きな箱を持つ」のではなく、「みんなで使いこなせる小さな道具を一つ持つ」選択として、うごく本バコはデザインされています。
◆季節ごとの役割
雪解けの2月末ごろから11月までは、外ヶ浜町や近隣地域を巡回し、集落やイベント会場、店舗などを回りながら、新しい出会いと小さな居場所を届けます。
11月から2月までは、蟹田駅前公園となりのスペースに腰を据え、子どもたちの遊び場と保護者のくつろぎの場、そして地域の人がふらりと立ち寄れる「社会的処方」の拠点として機能します。
通年で見れば、「出会いをつくる移動期」と「関係を深める定点期」を行き来しながら、孤立感と無力感を少しでも和らげる地域のコミュニティ・ライブラリであり続けることを目指しています。
◆うごく本バコが描く未来
うごく本バコは、「本のバス」を超えて、
地域コミュニティ支援、商店支援、アーカイブ・地域ブランディング、子どもと高齢者の支援という四つの役割をあわせ持つ、ささやかだけれど確かなインフラでありたいと考えています。
めくるページが、地域の未来を少しだけ明るく想像できるきっかけになるように
──そんな思いを乗せて、今日もゆっくりと走り続けます。
